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BJCC第20回Meetup開催レポート:
「せっかく導入したのに使われない」という事態を改善——“ソフトウェアを使いこなすためのソフトウェア”「Pendo」とは?

 2022.06.10  2023.01.30

便利で効率的なデジタルワークスペースの在り方を考え、学び、実践していく組織のためのコミュニティ「Box Japan Cloud Connections」(BJCC)では、さまざまなテーマについて学ぶ勉強会「BJCC Meetup!」を開催しています。

2022年5月10日に開催された、第20回の「BJCC Meetup!」では、スピーカーに米ITスタートアップ「Pendo.io」の日本法人であるペンド・ジャパンで、カスタマーサクセスディレクターを務める大山忍氏をスピーカーにお招きし、「守りのDX実現と、働き方改革につながるソフトウェア活用術」をテーマに、同社の“プロダクト定着化プラットフォーム”である「Pendo」についてお話しいただきました。

「デジタル化が思うように進まない組織」の状況を変える方法

「プロダクト定着化プラットフォーム」という言葉を、聞き慣れない人も多いかもしれません。今回のテーマである「デジタルトランスフォーメーション」(DX)や「働き方改革」といったキーワードに沿って解釈すると、「企業がビジネスプロセスや働き方を変えるために導入するアプリケーションを、従業員がとまどうことなく使いこなし、活用レベルを上げていけるようにするプラットフォーム(ソフトウェア)」ということになります。

将来的な労働者人口の減少が避けられない日本の企業にとって、テクノロジーを活用して従業員の働き方を変え、生産性を高め、新しい価値を生み出せるようなビジネス環境を作っていくことは、喫緊の課題になっています。その一環として、従業員が業務で利用するデバイスやアプリケーションを刷新したり、場所や時間に縛られずに仕事を進められるようクラウドで提供されているSaaSを導入したり——といった動きも進んでいます。特にコロナ禍以降には、クラウドストレージやリモート会議サービスなどを、新たに導入した企業も多いのではないでしょうか。

しかし、せっかく導入したクラウドサービスや、刷新したアプリケーションも、ユーザーである従業員に使われなければ意味がありません。満を持して導入したツールが「便利だと思ったのだけれど、あまり使ってもらえていない」「最初のうちは、頻繁にアクセスしていたようだけれど、すぐに利用率が下がってしまった」という状況では、IT担当者の責任を問われかねません。

こうした状況を改善するために、何かできることはあるのでしょうか。大山氏によれば、「Pendo」は「PLO(Product-Led Organization)」と呼ばれる考え方に則って、ソフトウェアをユーザーが活用し、組織に定着させるための取り組みを支援するプラットフォームです。Pendoの具体的な機能や、利用例に先がけて、まずはPendoの提唱する「PLO」とは何かを見てみましょう。

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「データ」から仮説と現実との間にあるギャップを知り、改善を進める

Pendo.ioは、2013年10月に米国ノースカロライナ州で創業したITスタートアップで、創業者のトッド・オルソン氏は、学生時代から複数のテックビジネスを立ち上げてきたシリアルアントレプレナーです。同社では「世界のソフトウェア体験を向上すること」をミッションに掲げており、現在の顧客はグローバルで2,500社以上といいます。日本法人であるペンド・ジャパンは、2020年11月に設立されました。

同社の理念である「PLO」は、主にSaaSビジネスを展開するITスタートアップの成長戦略である「PLG (Product-Led Growth)」を、企業や組織(Organization)のマネジメントに適用する考え方です。

「PLG」は、シンプルな表現で言えば「プロダクト(製品やサービス)でプロダクトを売る」という戦略です。近年のITスタートアップでは、企業側が世の中に提供したいコンセプトを、かなり初期の段階からサービスとしてネット上で公開し、ユーザーに無料で使ってもらいます。これは「お試し」としての意味もありますが、それ以上に、自分たちがターゲットしているユーザーが実際に求めているものと、自分たちが立てた仮説との間にあるギャップを見つけ出し、それを改善するための「データ収集手段」として価値があります。

プロダクトを使ったユーザーから収集したデータに基づいて、ユーザーが本当に求めているものへとプロダクトを改善できるようになると同時に、ユーザーが「お金を払ってでも使い続けたい」と感じる部分を、有料のプランとして提供していくことも可能になります。PLGでは、「良いユーザー体験(UX)を生みだし、ビジネスを成長させていく上で、プロダクトそのものが、最も重要な役割を果たす」わけです。

PLGは、特にSaaSを展開する企業で定番の手法です。代表的な例をあげると、オンラインミーティングツールとしてポピュラーな存在となった「Zoom」では、プロダクトを実際に利用したユーザーのログデータから、企業がオンラインで実施するミーティングの標準的な時間が「45分」であると算出し、フリープランで可能なミーティングの時間を「40分まで」という絶妙なラインに設定したのだそうです。

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デジタルツールの多さに圧倒されている従業員のストレスを減らす

PLOは、この「プロダクトから得られるデータを根拠にして、より良いユーザー体験が生み出せるよう継続的にプロダクトを改善していく」というPLGのプロセスを、組織へ応用する考え方です。

今回の文脈では、業務効率や生産性の向上を目指して導入したシステムに対して、従業員が「実際にはどのように使っているか」「どの部分に難しさや不便さを感じているか」についてのリアルな「データ」を取得し、その結果から、業務環境をより良いものに改善していく取り組みを指します。

あるIT企業が行った調査では、企業で働く従業員の37%が「業務で覚えなければならないデジタルツールが多すぎる」と感じているという結果が出ています。また「オフィス勤務とリモートワークの混在する状況で、新しいビジネスプロセスを導入することは難しい」と考えているマネージャーも、28%にのぼっています。

近年、企業では業務の効率化や、新たなビジネスプロセスの構築などを念頭に、SaaSを含む多くの業務アプリケーションが導入されています。この調査結果は、そうした状況の中で「次から次へと新しいシステムでやれと言われ、理解が追いつかない」と感じている従業員も少なくないことを示唆しています。

特に、コロナ禍以降は「分からないときに、そばにいる同僚にやり方を聞くこと」も難しくなりました。従業員が、「業務のためにソフトウェアを使う」ことにストレスを感じる状況は、以前より増えていると考えられます。Pendoは、より多くの従業員から、そのストレスを取り除き、組織がデジタル化から得られる恩恵を最大化していくための枠組みを提供しているのです。

既存のアプリに「分析」「ガイド」「フィードバック」の機能を追加

ここから、「プロダクト定着プラットフォーム」であるPendoの具体的な機能を見ていきましょう。中心的な機能は「分析(Analytics)」「アプリ内ガイド(In-App Guide)」「フィードバック(Feedback)」の3つです。

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「分析」機能は、アプリケーションを利用したユーザーのすべての行動をログデータとして取得し、集計分析するものです。Webマーケティングに関わったことがある人であれば「Google Analytics」や「Adobe Analytics(旧Omniture)」のようなツールで、Webサイトにおけるユーザー行動のデータを分析した経験があるかもしれません。Pendoの分析ツールのイメージは、それに近いものです。

ただ、Pendoでは、他の行動分析ツールでは事前に行っておく必要がある「分析対象の詳細な設定」が必要ない点が特長のひとつになっています。「事前に想定していなかったが、この部分での、この行動についての分析結果が見たい」というニーズが後から出てきた場合でも「新たな設定で、データ収集をやり直す」必要はありません。この機能は「遡及分析」と呼ばれており、Pendoでは、そうした作業を迅速に行えることを売りのひとつにしています。

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「アプリ内ガイド」機能は、ユーザーがアプリケーションを利用する際に、さまざまなユーザー属性やコンテクストに応じて、ポップアップでガイドを表示する機能です。コンテンツとしては、テキスト、画像、動画などが利用でき、ガイドの内容や表示のルールはコーディング不要で作成できます。

この「アプリ内ガイド」機能を使うと、例えば「30日以上ログインしていない(1カ月以内に入社した)ユーザーに対して、ウォークスルー形式で基本的な使い方を学べるツアーガイドを表示する」ことや、「ログイン頻度が高いが、特定の機能を利用していないユーザーを、その機能へ誘導し、使い方ガイドを出す」といったことが可能です。


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「フィードバック」は、アプリケーションを使っているユーザーに対して「アンケート」を実施できる機能です。「分析」が定量的データを取得する機能だとすれば、「フィードバック」では、「ユーザーの感想」のような定性的データを集めることができます。ポイントは、アンケートを出すタイミングを、ユーザーの属性やアプリケーションの使用状況に応じて任意に設定できる点です。例えば、新しく追加した機能を、使い終えたばかりのユーザーに対し、その場で「この新機能の使い勝手について評価を教えてください」などと聞くことができます。後日、メールなどで同じ質問をするのと比べて、回答率の向上が期待できます。

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「現場で実施が徹底されていないルール」も改善できる?

「分析」「アプリ内ガイド」「フィードバック」の各機能が、1つのプラットフォームにまとめられており、コンテンツについてはコーディング不要で作成できるというのが、Pendoの特にユニークな点です。

「“分析”で定量的なデータ、“フィードバック”で定性的なデータを取得し、その内容から、根拠を持って、アプリケーションの使いやすさを改善するような“ガイド”を作っていくことが可能です」(大山氏)

大山氏は、Pendoを利用することで、ユーザー体験がどのようなものになるかを示すためのデモを披露しました。ひとつは「CRMツール」への導入例を示したもので、入社後、初めてログインしたユーザーに、実際の操作を促しながら、基本的な案件作成の流れをステップバイステップで教えるガイドを表示していきます。ガイドの終了直後には、理解度を確認するアンケートも行えます。

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もうひとつは、イベント参加者にはおなじみのクラウドコンテンツ管理サービス「Box」へ、Pendoを導入した場合のデモです。「Box」の利用にあたって、ファイル保存時の分類や、セキュリティおよびガバナンスについて、組織ごとに独自のルールを設けているケースもあるのではないでしょうか。

Pendoの「アプリ内ガイド」を利用することで、そうしたルールについて、ユーザーに積極的にリマインドすることも可能になります。例えば「社外秘」としているフォルダ内のファイルを、権限を持たないユーザーが外部へ共有しようとした際に、アラートを即時ポップアップするような仕組みも構築することが可能です。「ドキュメントとしてまとめはしたが、実施徹底が難しいルールを現場に根付かせる」ための取り組みに、Pendoを応用することもできるというデモでした。

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一人ひとりの従業員に寄り添った業務環境の改善が組織を変えていく

講演の最後には、既にPendoを導入している海外企業での事例が、いくつか紹介されました。特に、グローバルで多数の拠点を持つ企業では、新たな業務アプリケーションの一括導入時にPendoを活用することで、オンボーディングのためのユーザー教育やヘルプデスクのコストを大幅に削減し、社員の生産性向上へ貢献している例が多いと言います。

また、より先進的な企業では、社内で導入している多数のアプリケーションについて、利用状況をPendoで可視化することによって、減価償却状況を詳細に把握したり、将来的なIT投資における戦略策定の参考にしたりといった活用例もあるそうです。

アプリケーションを導入した後、利用状況や導入効果などを、実際の「データ」をもとに客観的に把握し、状況の改善や、将来的なIT投資にまで生かしているという組織は、まだ多くないのではないでしょうか。業務アプリケーションという「プロダクト」を核に、根拠ある改善の取り組みを通じて、社員の生産性を底上げし、組織のビジネスプロセスを変革していくことを目指す考え方が「PLO」だと言えそうです。

「DXや働き方改革を目指す上で、従業員に新しいデジタルツールを与えるだけでなく、ストレスなく新しい業務環境に移行してもらえるようにすることは、これからますます重要になります。
そのためには、組織の中に、ツールを使う従業員の声を聞き、ソフトウェアをより使いやすいものへと改善していく仕組みと文化が必要です。
新たなツールを入れただけで、手品のように組織が変わることは期待できません。組織を変えるためには、それを構成する人、つまり従業員一人ひとりに寄り添って、変化を促していかなければなりません。
ITに苦手意識がある人に対しても、デジタルツールを使うことによる“小さな成功体験”を積み重ねてもらえるような業務環境作りを、Pendoはサポートできると思っています」(大山氏)

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今後も、BJCCではさまざまなテーマでイベントを開催していく予定です。いち早く情報を知りたい方は、ぜひコミュニティに参加し、BJCCのSlackチャンネルをチェックしてください。

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