Box Japan Cloud Connections 第8回Meetup開催
レポート:リモートワーク銘柄ベンダーが指摘する
“コロナ下の企業の課題”と“解決策”

 2020.09.04  BJCC

「デジタルワークプレイス」をテーマに、DX時代の企業システムのあり方を考えるコミュニティ「Box Japan Cloud Connections(BJCC)」が8月11日、第8回Meetupを開催しました。

今回のテーマは「Zoom, DocuSign, Boxのリモートワーク銘柄3社に聞く! 〜最新のリモートワークの現状とこれから〜」。第7回Meetupでパネリストとして参加した野村総合研究所の佐藤俊輔氏がファシリーターを務め、リモートワークをサポートするSaaSベンダーから見た企業の課題と解決策について、リモートワークに欠かせないであろう3社の代表者とディスカッションしました。

今回のテーマについてBJCCのコミュニティリーダーを務める原田修平氏は、「多くの会社が予期せず在宅ワークに取り組まざるを得なくなった中、万全の体制で臨めた会社は多くなかった。もともとリモートでも働ける仕組みを導入していた会社でも、突然、全社員がリモートで働くとなるとさまざまな問題に直面したはずです」と企業の現状を説明。今回のイベントを通じて、コロナ禍という特殊な状況下における企業の課題を明らかにするとともに、いわゆる“リモートワーク銘柄”といわれるBox、DocuSign、 Zoomが、企業の課題に対してどうアプローチしているのかを明らかにしたいと話しました。

今回、リモートワーク銘柄ベンダーの代表者として登壇したのは、株式会社Box Japanの執行役員でエンタープライズ営業3部の部長を務める大屋 俊一郎氏、ドキュサイン・ジャパン株式会社の事業開発本部で部長を務める栗原絵里子氏、ZVC Japan株式会社でシニアアカウントエグゼクティブを務める加賀太木男氏の3人です。

Box Japan Cloud Connections 第8回Meetup開催レポート:リモートワーク銘柄ベンダーが指摘する“コロナ下の企業の課題”と“解決策”

イベントに登壇した6人。Box Japan執行役員エンタープライズ営業3部 部長の大屋 俊一郎氏(上段左)、ZVC Japan(Zoom)シニアアカウントエグゼクティブの加賀太木男氏(上段中)、野村総合研究所(NRI)上級テクニカルエンジニア/BJCCメンバーの佐藤俊輔氏(上段右)、ドキュサイン・ジャパン株式会社 事業開発本部 部長の栗原絵里子氏(下段左)、Box Japanシニア コミュニティ マーケティング マネジャーの辻村孝嗣氏(下段中)、BJCC コミュニティリーダーの原田修平氏(下段右)

コロナ禍でどれくらい引き合いが増えたのか

ファシリテーターの佐藤氏が最初に問いかけたのは「コロナ禍で引き合いは実際に増えたのか」という質問でした。Box Japanの大屋氏は、「ZoomさんやDocuSignさんほどではなかったと思いますが、お客さまからの問い合わせは多かったです」と振り返り、業種・業態を問わず問い合わせが増えたことや、多数のライセンスを購入するような大型案件に関しては、この先の事業見通しが難しいことから大型投資には慎重な姿勢が見られたこと、一方で既存ユーザーからのライセンス追加の相談はとても多かったと明かしました。

オプションに関する問い合わせも多く、「ワークフローの自動化を実現する仕組みであるBox Relayに関しては、社内での物理的な押印や承認プロセスの置き換えとして問い合わせが増えました」と大屋氏。これに対して佐藤氏はユーザーの立場から「Box Relayはコロナ前には全体に適用する必要がある機能であることで導入が難しかったのですが、コロナの影響で『承認プロセスを電子化する』という機運が高まり、入りやすくなったのでは」(佐藤氏)と分析しました。

Zoomの提供元であるZVC(Zoom Video Communications)Japan(以下、Zoom)の加賀氏はZoom利用者数の推移を振り返り、2019年末時点で1,000万人くらいだったグローバルのZoomミーティング参加者数が2月前後のタイミングで1,700万人になり、3月には一気に2億人、4月には3億人と、年末から約30倍に増えたことを明かしました。ユーザーは業種や企業規模を問わず増えており、学校での利用が急増したのがコロナ禍の影響ならではだったといいます。

なお、この数字はミーティングの参加者数であり、ライセンスを保有していない無償ユーザーも含む数字ですが、それでもこの期間に利用者数が爆発的に増えたことが分かります。「国内での知名度を高めるためにテレビCMなどの手段も検討していましたが、その必要もなく認知度が一気に高まりました」(加賀氏)

ドキュサイン・ジャパンの栗原氏はユーザー数の変化について「昨年(2019年)くらいから電子署名に対する関心が高まり、DocuSignに対する問い合わせも増えていました」と話し、「昨年くらいに導入したユーザー企業の評価が、コロナ禍の対応でDocuSignを検討/導入し始めた企業の導入を後押ししてくれた面もある」と説明しました。

DocuSignはユースケースベースで導入が進んでいくことから、「導入企業の業種や業態に偏りはなく、決断の早い企業から導入が決まっていった」と栗原氏。DocuSignはスモールスタートでも導入できることから、コロナの影響で先の見通しが立てにくい状況下でも無理なく導入できる点が評価されていると説明しました。

コロナ禍による企業の課題はどのようなものだったのか

佐藤氏の次の質問は、「コロナ禍で企業はどのような課題を抱えていたのか。どのようなユースケースが“刺さった”のか」というもの。ドキュサイン・ジャパンの栗原氏は「ニュース等で“ハンコ出社”が話題になり、『ハンコのために従業員を出社させるわけにはいかない』という世論の高まりから、その解決策としてDocuSignを検討する企業が多かった」と話します。「実際には、ハンコが押されていないと先に進まない業務が多数あるので、その業務を可視化することを契機に導入を検討したい、というユーザー企業が多かった」(栗原氏)とのことです。

「ハンコをなくしたいけど、なくせない——というユーザー企業にどうアプローチするのか」という佐藤氏の質問に対して栗原氏は、DocuSignは必ずしも“脱ハンコ”をしなくても導入できるため、そこをアピールしていると説明。一般的な電子署名ソリューションでは、“ハンコを辞める”“電子化する”という2ステップで移行しますが、DocuSignは大手印鑑メーカーのシャチハタとの連携により、ネーム印や社判、事業部印、役職印に関してDocuSignが無償枠を持っており、企業側が手間やコストをかけることなく、今、使っている印影をデジタル化して使えるようにしています。それにより“印影をデジタル化する”だけの1ステップで物理的な押印をなくせることを紹介しました。

Zoomの加賀氏は、ミーティングにZoomが使われるようになったことで、会議の時間に対する人の意識が変わってきたと話します。「ミーティングの時間がどんどん短くなっています。以前は1時間が多かったミーティングの時間が30分になり、さらに15分に減っている」(加賀氏)。その理由については、「以前はミーティングのための時間枠として1時間確保し、さらにその1時間を使い切らないと申し訳ないといった意識があったが、今は要点だけを効率よく伝えるように変わってきたのではないか」(加賀氏)と推測しています。

Box Japanの大屋氏は、「ミーティングの時間が今までの半分になると、その空いた時間に別のミーティングを入れられるようになります。実際のところ、当社の営業部門の商談回数は、ウィズコロナの状況になって以降、以前の1.5〜2倍くらいに増えています」と明かしました。

ただしこれは「効率が上がって良い」という半面、「事前の準備やフォローアップのための時間の確保が難しくなる」などの弊害も生んでおり、「これまでにも増して時間の使い方をよく考えなくてはならない」(大屋氏)という新たな課題が明瞭になった格好です。

「例えばリアルなミーティングでは“会議室に移動する時間”があり、そこでしていた会議の振り返りや同僚との雑談もなくなってしまったわけです。このようなちょっとした、だけど実は有益なコミュニケーションの機会を、新しい働き方の中にうまく組み込んでいくことが重要になると思います」(大屋氏)

コロナ禍は情報システム部門にとって“追い風”に

物理的なオフィスに行けなくなったことによるテレワークの普及や新たなコミュニケーションツールの利用拡大によって会議が効率化され、それが改めて「時間の使い方」の再考を促すことにつながったりするなど、これまでとは異なる視点でIT施策を考える必要が出てきている中、「この状況を情報システム部門がどのように生かしていくのか」——。

佐藤氏のこんな質問に対してBox Japanの大屋氏は「これまでの業務改革は、情報システム部門が“上げ膳据え膳”で事業部門に提案するスタイルでしたが、今は事業部門側が『オフィスに出社しない仕事のやり方はどうしたらよいか』『紙を生まない業務プロセスにはどうすればよいか』といった課題を自発的に考える機運が生まれています。外部環境の変化によって、こうしたムードが生まれたことから、ある企業のCIO(Chief Information Officer)は『ここは敢えて一旦、静観する』と言っており、今は自発的に考えることからニーズが顕在化するのを待つべきでは、という考え方も出てきています」といい、「(顕在化したニーズを解決するために)今後は間違いなく情報システム部門が頼りにされる場面が増えていくはず」と指摘しました。

イベントの最後はBox Japanでシニア コミュニティ マーケティング マネジャーを務める辻村孝嗣氏がディスカッションを総括し、「大事なのは当事者意識を持つこと。リモートワークも、コロナ禍によって誰もが強制的に当事者になったからこそ大事なものが見えてきました。ここからダイバーシティが進み、多様な働き方が認められ、行われるようになってきています。人それぞれが異なる働き方をせざるを得ない状況下で、情報システム部門こそが全体を見て手をさしのべられる立場であり、いろいろな人の意見を聞き、親身になって対応することで、会社はどんどん働きやすくなっていくはずです。今、まさに情報システム部門が活躍する時代が来ているので、BJCCはその支援をしていきたい」と述べてイベントを締めくくりました。

【執筆:渡邉利和 編集:後藤祥子(AnityA)】


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